指導音楽理論概要 3


 ブルースKeyのレッスンでは、主和音の集合体を明確に指板上に投影させるためリディアン♭7スケールを基本としている
 実際にブルースにおけるB♭7(T7)は、F-△とG-△の組み合わせにより見かけ上B♭7を形成させるだけであり
 演奏中にアプローチ音を用いる事により、一時的に和音は変化し常にB♭7とは限らない
 例えば本来B♭7上には存在しないはずのM7音などはE♭7のX-△を目指すF7などのコードトーンであり
 その他、一般にDom7thテンションであるオルタ−ドテンションなどと呼ばれている音も同様だ 
コード進行はプレーヤーの加える音によっていつも変化している

 そもそもJAZZやBluesがそんなスケールで演奏されていた訳でもなし、オルタードドミナントスケールの実態が回帰するコードトーンの寄せ集めである事を理解すれば
 氷山の一廓であるオルタード等のスケールをいかに練習したとしても、JAZZやBluesのアプローチの本質からは遠のく事に気付くはずだ
 各プレーヤーが自由な演奏をする事で複数の和音が同時進行して様々な色彩を作る現実を経験する事により
 単一のスケールではなく常に12音プレー可能な事を知り、またそれが不可欠である事に気づかなければアドリブプレーはいつか破綻する
 メジャーブルースをマイナーペンタだけでブルーノートも使わずプレーする作業はT7とW7を行き来するに他ならない、
 セカンドポジション等でブルースハープをプレー出来るなら容易に納得出来るはずだ  
 元来、ブルースに明確なX7など無い
 ペンタで行えるならそれでも良いが、ブルース以外に対応するには以上を十分に理解する必要があると考える

 B♭のブルースで可能になれば同じ軸を持つA♭keyのドナリ−もFm keyのアイオヴザハリケーン等も同様だ
 例えばドナリーの仮トニックをC△とC-△に設定し(C5でもトーナルセンターCでも良いだろう)
 多方向からアプローチするだけで容易にハイテンションサウンドがプレー可能だ
 ただ学習者が代理したテンションハーモニーを容認できるかどうかが問題である、 ドナリーのアドリブでD♭M7をC-△で代理して、演奏している本人が快適かどうかだ
 無論、一般の進行どうりにE♭-7→A♭7などとUXを並べていたのではD♭M7中のC-△では解決は希薄だ、 ハーモニーの収束する方向も、収束力も足りない
 トーナルセンターでハーモニーを感じ取れるには経験か才能がいる
 例えば代理した和音の構成音に♯11thが入っている場合、解決音にしてゾクッとくる人はJazzyな耳を持った人だろう
 しかしこの♯11thを単体で扱えるか否かが最大のポイントである 
 自然倍音列上、第11次倍音として軸音に僅かに含まれる♯11th、強烈なテンションではあるが素晴らしいサウンドを持っている

 距離感でプレー可能になればある程度のハイブリットサウンドは可能だが、これらをコントロールするとなれば話は別だ
 学習者がいずれ感じ取れるであろうテンションは単純な演奏方法であるがゆえに逆に可能なのだ
 当時のジャズメン達があの複雑なビーバップのコード進行を高度な理論や厳しいトレーニングを積んで演奏していた・・・などと思っているのなら?考え直す必要がある


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